赤い糸を離してくれない
「雫」
急に律人が私の名前を呼ぶ。
そして私の隣に腰を下ろす。

「どうしたの?」

「さっき言ってた遠くに暮らしたいってどう言う事?」
また真っ直ぐな目で聞いてきた。
嘘は通用しない気がした。

私はスケッチブックとペンを置いた。
 

「近くに住んでも今と同じで迷惑かけるって思ったの。それに隣のマンションなんて今以上に律人の負担になるかもって……」

私は俯きながら答える。
 
「俺と離れたら雫寂しくて泣くんじゃないの」

ちょっと意地悪な声がした。


「な、泣かないし……!」
寂しいと思ってたのを見透かされた気がして顔が熱くなる。
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