赤い糸を離してくれない
いきなり律人の手が私の顔を包み込む。


昔よりも大きくなって、昔と同じく綺麗で長い手。
私の顔を優しく上に向けて律人と私の目線が合わさる。


今までこんな近いのも律人にこんな風に触れられるのも初めてだ。
律人の手は冷たいのに私の頬は熱くてそれが余計にドキドキする。


「1人になんてならないよ。俺が毎日構ってあげる」


律人は少し目を細めて意地悪な顔をしながら私の涙を優しく拭った。

まるで壊れ物を扱うように優しく愛おしいものを扱うように私に触れている。



それが余計に私を混乱させる。
心臓がうるさくて恥ずかしいのに動けない。
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