赤い糸を離してくれない
「雫」
いつもより甘い声で私を呼ぶ。
それだけで心臓が跳ねる。今まで感じたことの無い息苦しさで心臓がキュッとなる。


「な、何……?」
震える声で答える。


「…………」
「…………」

律人は黙って私を見つめる。
部屋は時計の針の音しか聞こえなくなる。
 

「……り、律人……?」
私は思わず声をかける。
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