赤い糸を離してくれない
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 律人side

幼なじみの奥村雫。
最初俺は雫が苦手だった。

同じ日、同じ病院で産まれた。
他にも偶然が重なって自然と家族ぐるみで仲良くなっていた。

でも俺と雫だけは全く仲良くなかった。


雫の兄、蒼さんはいつも人懐っこい笑顔で太陽みたいだった。

俺にも優しくて色んなことを教えてくれた。
だから蒼さんには俺も自然と懐いていた。


でも妹の雫は正反対だった。
一重で目の下にはクマがある。
髪も前髪が少し影になっていて暗い。

いつも部屋の隅でスケッチブックに何か絵を描いていた。

それが俺にとっては凄く不気味で変な奴だと思っていた。
こんな不気味で変わってるやつが幼なじみだと周りに知られたくなった。


だから俺はずっと雫を避けていた。
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