赤い糸を離してくれない
「……すみませんおばさん……」
お兄ちゃんがか細い声で答えた。
 
「謝らなくていいのよ。ほら蒼(あおい)くん休んできなさい。雫ちゃんの心配はしなくて大丈夫よ。私達がいるから。」

いつもとは少しぎこちない笑顔でおばさんは言った。
子供ながらにあぁ、おばさんも辛いんだろうなと分かった。

「ありがとうございます……雫、お兄ちゃんちょっと横になってくるから、何かあったらおいで」

そう言って私の頭を撫でた。
私はこくりと頷くとお兄ちゃんは二階の部屋に行った。


お兄ちゃんの足音が遠くなり部屋が静まり返った。
「……雫ちゃんもう我慢しなくていいのよ」

おばさんが私をみて微笑んだ。
多分泣いていないから我慢していると思っている。


でも私は我慢しているんじゃない。本当に涙が出ないの。悲しいのに心が空っぽみたいで変なの。
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