赤い糸を離してくれない
「ブサイクなんて思ってないんだけど。」
サラッと信じられない事を言った。

私可愛くないのに。
気を遣ってくれたんだ。やっぱり律人は優しい。

「で、何で眠れなかったの」
私の顔を覗き込むように聞いてきた。
ちゃんと答えないとずっと聞いてくるだろう。

でも言えない。
律人の事を考えたら何故か寝れなかった。そんな事絶対に言えない。

「……緊張してて」

私は精一杯の嘘をついた。
これ以外言い訳が思いつかなかった。

目を見られたら嘘だってバレる気がして、私は両膝を抱えて縮こまる。


「何で嘘つくの」
図星で思わず体がビクッとなる。
何で分かったの?
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