赤い糸を離してくれない
「嘘じゃない。本当に緊張してて」
「俺に嘘通用しないの分かってるでしょ。」

何で律人はこんなに鋭いんだろう。
でも今回ばかりは本当の事を言えない。


「律人には関係ない……」
私は抵抗をした。関係あるのに。
でもこんな言い方したら怒るかな。


私は恐る恐る顔をあげて律人をみる。
私は息を呑んだ。

律人がものすごく悲しそうな顔をしていた。
傷つけてしまった。心配してくれてたのに。

「ご、ごめん!心配してくれたのに酷い言い方して!ただちょっと考え事してたの!ごめんなさい」
私は慌てて謝った。

なんて最低な事をしてるんだろう。
律人は私を傷つけたりしないのに。毎日迷惑かけてるのに傷つけるなんて本当に私はダメな人間だ。


私は泣きそうになるのを堪える。
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