赤い糸を離してくれない
そこには律人が居た。

私とは正反対の二重の大きい目に高い綺麗な鼻。
柔らかそうな少し茶色い髪。
私より少し低い背。
周りの男子とは違う綺麗で長い手。

性格も全然騒がしくなくて落ち着いている。
どこか大人びていた。

そしてその綺麗な手には持ち運びできる小さなピアノ。
いつも私の部屋で弾いてれる時は持って来てくれる。
 
「……どうしたの?」

扉の前で動かない律人に声をかける。
律人は私の目を見てドアを閉める。

なにも話さないまま部屋にあるテーブルにピアノを置いて座った。
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