赤い糸を離してくれない

2.気づかない気持ち

私は中学3年生になりそろそろ卒業する頃になっていた。

あの日から私とお兄ちゃんは少しずつ前に進むようになった。
私は遠くに住んでいる親戚に引き取られる予定だったけどお兄ちゃんが「たった1人の家族なんです。俺は絶対に雫を守ります」と宣言した。嬉しかった。
 
その後生活と学費の為に勉強しながらアルバイトを掛け持ちして無事大学を卒業。その後は大手商社に就職した。


お兄ちゃんが自分を犠牲にしているのを見ると辛くなって何度か親戚の家に行くよう提案した。

だけどその度に「雫がいるから頑張れるんだ」っていつもの明るい笑顔で答えてくれた。
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