緋色の徴(しるし)・改訂版・リリカとサリエル 魔法の恋の行方シリーズ
「君がそこまで言うのなら・・・仕方がないな」
そう言って、
グルシアはリリカに部屋に入るよう指をさした。

リビングに戻ると、リリカは気まずそうに、グルシアから距離を取って座った。

「酒とたばこはダメだ!」
「わーってるよぉ。そのくらい」

リリカは冷たくなった紅茶を一口飲み、大口を開けてアップルパイをほおばった。

アップルパイの匂いで、この魔女の臭いが紛れたのか。
グルシアはいつでも剣を出せるよう、テーブルに手を置いた。

「リリカ、アイス食べよう!すんごく美味いよ」

アレクサンドラは、アイスクリームをすくって、リリカの皿に乗せた。

「キヤッホーーーイ!!これ、高級アイスじゃね?」

「リリカが来るから、いっぱい買っといたんだよぉーー。ダーリンのお土産も開けるね」

リリカとアレクサンドラは甘い物を食べている時、本当にうれしそうな顔をする。
たかだかアイスで盛り上がっている様子は、こどもっぽいし、姉妹のようだ。

グルシアは緊張を緩めた。

「それで、相談というのは?」

リリカは大魔女で、現役の奴だ。話を早く終わらせる方がいい。
それにこの後、すぐにアレクサンドラと妊娠の話をしなくてはならない。
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