緋色の徴(しるし)・改訂版・リリカとサリエル 魔法の恋の行方シリーズ
リリカの眉間にしわがくっきりと寄り、口が歪んだ。

「アタシのスタイルって・・こっちの勝手じゃない!!
なんで、アンタに、そこまで言われなくちゃなんないんだよっ!
はぁ、もうっ!!帰る!!」

リリカはガバッと立ち上がると、バックをわしづかみにして、玄関に向かってバタバタ走って行った。

バターンッ!!

大きな音を立てて、扉が閉められると、グルシアが顔をしかめ肩をすくめた。

「その・・・もう少し、言い方ってもんがあると思うが・・」

グルシアが困惑気に言うと、サリエルは当然と言うように

「そーかなぁ、でも事実だよ。
リリカちゃんは、きちんとニンゲン界の現実を見たほうがいい。
部下がいるなら、なおさらだね」

サリエルは、アップルパイをほおばりうなずいた。

「これ、おいしいね。シナモンが効いている」

アレクサンドラが、紅茶のカップを両手で持ち、嬉しそうに聞いた。

「サリエルは、シナモンが好き・・なんだぁ?」

「うん、シナモンロールとかも好きだよ」

その返答に、アレクサンドラはエメラルドグリーンの瞳をより細めた。

グルシアが話題を変えた。

「まぁ、困っている魔女に恩を売るのも、今後、何かの役に立つかもしれない。
取りあえず、合コンの面子(めんつ)を考えておいてくれ」

アレクサンドラは参加希望のプロフィール写真を手に取り、フンフンうなずいている。

「皆、まじめそうな魔女ちゃんだな。邪悪さがない。控えめな感じだ。
これだと、魔界でやっていくのは厳しいかもしれないな」

「設定は・・段取りはどうする?」

グルシアがサリエルに問いかけた。

「そうだなぁ。オトコ天使でフリーの奴、何人かいるから聞いてみるか。
場所は個室のとれるところ、肩の張らないイタリアンかフレンチでどうだろうか」

サリエルが即答した。

「日取りと時間、場所が決まったら、連絡するよ。
幹事は、僕とリリカちゃんでいいね。費用は人数で割りかん。2次会はその時のなり行きかな」

サリエルはすぐにスマホで、店の検索を始めた。
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