緋色の徴(しるし)・改訂版・リリカとサリエル 魔法の恋の行方シリーズ

天使と魔女の合コン開始


合コンの場所は駅から少し離れた住宅街、
庭が美しいと評判のこじゃれたイタリアンの店だった。

サリエルは店の前で、時計を確認した。

「6時30分まで、あと5分か」

サリエルは、いつもの緋色のネクタイに濃紺のスーツ姿。
そこに洗練されたオーラが漂うのは、高位の大天使だからだ。

「グルシア天使長の奥さん、超かわいかったですよね。
ところで、サリ先輩はつきあっているオンナノコって、いるんですか?」

ニンゲン界でSEとして働いている、下級天使が興味深々で聞いた。

「そうだね。今、僕の立場は教会の管理だからね・・」

そう、言いかけたサリエルが振り向いた。

「お待たせしました」

声をかけてきたのは、リリカとおぼしき人物が立っている、が・・

紺のパンツスーツ、低めの黒のパンプス、白のボータイブラウス、大き目の黒革のトートバックを肩にかけている。

茶色の髪を後ろにひとつに束ねて、化粧もほとんどしていない。
頬に薄くそばかすが見えるし、口紅ではなく、薄いピンクの色付きリップだけだ。

地味にまとめているのが見え見えなので、サリエルは口に手を当てて、笑いをこらえるのに苦労していた。

この間、指摘したことをきちんと覚えて実戦してきたのだろうが、なにしろ振れ幅がデカすぎる。

リリカは、サリエルをフンと一瞥して

「うちのオンナノコたちです。よろしく」
そう言うと、あごを上げて、さっさと店に入って行った。

リリカに続く魔女たちも、制服のような黒、紺、グレーのスーツだ。
オトコを寄せ付けない魔女軍団。

別の見方をすれば、リリカが引率の教師で、若い魔女たちが生徒のように見える。

オトコ天使たちは、意外すぎる魔女たちの姿に、あっけに取られて立ちすくんでいたが、

「んじゃ、我々も行くか」
サリエルの笑いが一段落した所で、天使軍団も入店した。
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