緋色の徴(しるし)・改訂版・リリカとサリエル 魔法の恋の行方シリーズ


赤ワインで乾杯して、それぞれが自己紹介をした。

若い魔女たちは緊張をしているのか、うつむき加減でこういった席になれていない印象だ。
お堅いスーツ姿が、新入社員のような初々しさを見せている。

合コンというより、初めての仕事の顔合わせの席といったようで、

その中でリリカだけは、我、関せずというように、ワインをグビグビ飲んでいた。
そして大皿でくるピザやスパゲッティ、カルパッチョ、サラダもガシガシ食べていた。

「2時間たったからね、そろそろお開きね」

リリカは、バックから大きな黒いがま口を出して

「はい、集金ね。一人2000円でOKだよ」

幹事役を発揮して、リリカは魔女たちの間を回り集金していく。
そのすきに、天使とライン交換している魔女もいた。

リリカは、さっさと伝票をつかんで会計を済ませ店を出た。

「私、電車で帰るから、じゃあね。さよなら」

店の前で群れている魔女たちに声をかけると、身を翻してうす暗いガード下のほうに向かった。

二次会は若いものだけのほうが、いいだろう。
それに買ったばかりの低いパンプスは、歩きづらい。

カツ、カツ、カツ・・
ヒールの音がガードのコンクリート壁に反響する。

「支払い!!」
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