緋色の徴(しるし)・改訂版・リリカとサリエル 魔法の恋の行方シリーズ
その声に、驚いてリリカが振り向いた。

サリエルが走ってきて、いきなりリリカのバックの持ち手を後ろからつかんだからだ。

「あれじゃ、お金、足らなかったでしょう?リリカちゃん、自分で出したよね」

この緋色の大天使の脳みそは、計算にも強いらしい。

「んだよぉ!!その分、アタシが食ったし、飲んだからいいんだよ」

リリカが口を尖らすと、サリエルは一万円札を差し出した。

「割り勘と言いましたよね。
君に負担をかけるのは、こちらとしても気分が悪いですから」

「まーー、どーしてもって言うんならさ」

リリカは大きながま口を、バックから取り出した。

「へーー、すごい、財布だね。こんなの見たことがない!」

サリエルの驚きを無視して、リリカはガマガエルのような口をバカッとあけた。

「ああ、これは大魔女の認定で、師匠から受け継いだものだからね」

そう言って、サリエルの手から万札をひったくった。

「はぁーー!!魔女の認定って、そうなんだ!知らなかった!!」

サリエルは感心したように、がま口を観察していたが、何か気になったようで、

「ところで、君のお気に召した天使はいましたか?」
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