緋色の徴(しるし)・改訂版・リリカとサリエル 魔法の恋の行方シリーズ
その問いに、リリカはふぃっと顔をそらした。

「はぁ、アタシは関係ねーからな。んじゃ、もらっておくぜ」

「今日の君のスタイル、あのお局(おつぼね)様っていうコスプレ?」

サリエルがいつもの笑顔で一歩近づいたので、リリカの口角が思いっきり下げられた。

「はぁ・・おめぇーなぁ・・」

リリカは顔を上げて目を細め、自分より背の高いサリエルのネクタイをぐいっとつかんだ。

「調子にのると、ボコるぜ。うぜぇーー」

「ああ、リリカちゃんって、バイオレンス路線の人?」

サリエルはうれしそうだ。

「お前・・もしかして変態なんか?」

リリカは、ぴょいと飛びのいた。

「ロープとか、手錠とか鞭とか、好きってか!!」

グゴーーーーーン

ガード上の線路から、電車の通過する大きな音が響く。

サリエルは、天井に届くほどの大きな緋色の翼を広げた。
その瞳は、炭が紅く燃えているようだ。

「もっと君の事知りたいな。リリカちゃん」

サリエルは口角をあげて、両手を広げてゆっくりと迫って来る。
それは・・伝説の魔王のようだ。

「こわっ!!」

リリカはバックを投げ捨て、ポンと跳ねると茶色の猫になり、ダッシュで逃げ出した。

アスファルトの道路には、黒のパンプスとトートバックが残されている。

「あーあ、これ、どうするかな」

サリエルは拾い上げて、最初は含み笑いをしていたが、最後は腹を抱えて大笑いをしていた。
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