緋色の徴(しるし)・改訂版・リリカとサリエル 魔法の恋の行方シリーズ
「あなたにとっても、他人事ではないでしょう。あなたの娘がどうなるのか・・」

「こどもは・・絶対に・・・女の子なのか・・」

グルシアがうめくように言った。

「ええ、魔女は魔女を産むので」

リリカが確信を持って、答えた。

その昔、魔女は薬草を集め、産婆の役目もしていた。
多くの困りごとを持つ女性に寄り添って、密かに生活をしてきた歴史がある。

天界もニンゲン界のオトコも、そんな事を気に止める事はなかった。
それだけではない。
邪悪な存在として、糾弾までしたのだ。

「だからこそ、早くに天界のご理解をいただきたいのです。
魔女たちが安心して、ニンゲン界で暮らして行けるように。
あなたの娘の将来のためにも・・」

グルシアはうなり、腕組みをした。
もし、リリカの言う事が事実ならば、天界でも大きな方向転換となる。

「それでは、失礼させていただきますわ」

リリカはポンと猫の姿になり、するりとその身をくねらせた。
そのままベランダの戸の隙間から出て、手すりを伝って、非常用階段に消えていった。


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