緋色の徴(しるし)・改訂版・リリカとサリエル 魔法の恋の行方シリーズ
「ねぇ、この子が、魔女になりたいって言ったら、困る?」

そのエメラルドグリーンの瞳は、水で濡れているようだ。

「アタシはダーリンを困らせたくないな・・ここから出ていってもかまわないよ?」

大天使が魔女と結婚する。
それは異例のことで、天界でも炎上した。。

しかも、生まれたこどもが魔女になるという状況は・・・天界でのグルシアの立場が揺らぐはず。

「俺が何とかする。こどものためにも!!
先の事は心配しなくていいから、体調だけ注意してくれ」

グルシアは、アレクサンドラを強く抱きしめた。

「でもさ、ごめんねぇ・・」

アレクサンドラはお腹に手を当てて、小さくつぶやいた。

子どもは・・・厳しい環境に置かれるだろう。
天界でも魔界でも、身の置き所がないかもしれない。

「子どもも君も、絶対に守るから・・」

グルシアもその手に、自分の手を重ねた。



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