緋色の徴(しるし)・改訂版・リリカとサリエル 魔法の恋の行方シリーズ

リリカの弁論

天界の会議場前で、正装である純白の長衣をまとったグルシアが待っていた。

「ダーリン、来たよー」

手を振るアレクサンドラは、黒のゴスロリファッション、その隣にはリリカが例のお局スタイル、黒のパンツスーツで歩いて来る。

リリカは緊張しているようで、バックの持ち手をギュッと握りしめていた。

「リリカ君、それでは、行こうか」
グルシアが声をかけた。

「じゃぁね、リリカ、廊下で終わるのを待っているよ」

アレクサンドラが小さく手を振った。

「うん・・」
リリカは口を真一文字に結んで、うなずく。

すぐにグルシアが、大会議場の観音開きの大扉を開け、リリカに入るように促した。

その部屋は・・・ニンゲン界の裁判所と、そっくりに見えた。

中央の一段高い場所に、長老が着席、両脇に秘書官を従えて、右脇と左脇には、上級天使が3人ずつ座っている。

右の真ん中、緋色の長衣のサリエルが書類に目を通している。

「それでは中央の証言台に・・」

グルシアがリリカを誘導して、自分は左脇の上級天使の位置に着席した。

後ろの傍聴席には、中級、下級天使が空席なく埋まっている。

コーーン

グルシアが、大きな木槌を打った。

「それでは次の議題ですが、ニンゲン界における魔女の措置についてです。
徴(しるし)と封印の問題提起ですが・・」

会場がしんと静まり返り、視線がリリカに集まった。

天界に魔女、それも大魔女が来ること自体、前例がなく前代未聞の事。

「本日は魔界より、大魔女リリカ殿が直接説明に来ています」

グルシアが、<始めろ>というように、中央のリリカに向けて手を差しのべた。

リリカがうなずき、バックからタブレットを取り出した。

その画面を確認しながら、声を張り上げた。

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