緋色の徴(しるし)・改訂版・リリカとサリエル 魔法の恋の行方シリーズ
大魔女リリカの葛藤
<大魔女リリカの葛藤>
「はぁーー、なんじゃ?これは?・・・最後のいやがらせかぁ?」
大魔女リリカはもてあますように、ブーケをクルクル回した。
それからブーケを脇にはさみ、毛皮のコートからたばこを取り出して、紅い唇にはさんだ時だった。
パシッ・・
リリカの斜め後ろで、小さな稲妻が走った。
「ここは喫煙禁止なのですが」
リリカは驚いて振り向いた。
「私はここの管理者でサリエルと言います」
そこには細身の男、黄金に赤いメッシュが混じる髪を、後ろで束ねている。
しかも腕組みをして、リリカのすぐ後ろに立っていた。
こいつは天使だ・・・
それに、この場所は天使のなわばりとニンゲン界の境目だし。
「わわ、悪かったなぁ、すぐに出ていくから」
リリカが慌てて、たばこを外の通りに投げ捨て逃げようとした。