緋色の徴(しるし)・改訂版・リリカとサリエル 魔法の恋の行方シリーズ
リリカは<納得はいっていない>というように、口を尖らしたが、取りあえず礼を言った。

「そう、あれで役に立ったかな、けど・・」

サリエルはそう言って、リリカの隣に並んで座った。

なんで、そばにくるんだよぉ・・あっちに行けよ!!

と、思いつつも邪見な対応は出来ず、リリカは引きつった笑顔を見せた。

「君は、これからどうするの?」

「サキュバスの邪魔はできないし、ニンゲン界でブラブラするつもり。
それに、アレクサンドラのお産の手伝いも・・することになるだろうし」

リリカは目を合わさないように、反応しないスマホをいじりながら答えた。

「君はサキュバスに、いじめられているんだろう」

サリエルがはっきり言った。

ふうっ・・・リリカは歯をくいしばった。

こんな奴に、弱みを握られたくない。

すでに偏平足や足のサイズについても、知られているというのに。
泣き顔なんか、絶対に見られたくない。

「魔界ではよくあることだ。気に食わない相手をつつくのはね」

リリカは、<そんなこと、当たり前>というように前を向いて言ったが、手にあるハンカチがきつく握られた。

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