緋色の徴(しるし)・改訂版・リリカとサリエル 魔法の恋の行方シリーズ

天使の徴(しるし)とキスの練習

「天使の徴(しるし)があれば、サキュバスだって手が出せないだろう?」

サリエルも前を向いて、点滅するエレベーターの階数ボタンを見つめていた。

「君が望めば、すぐに徴(しるし)は手に入ると思うけど」

「はぁーー!!なに、言ってんだよぉ!
アタシは大魔女なんだよっ!!」

リリカは、初めてサリエルの顔を真っすぐに見て、にらみつけた。

徴(しるし)をつけられることは、魔女の廃業を意味する。

魔界の所属ではなくなるのだ。

「そうだな・・では別の視点で提案しよう」

サリエルは、ふっと意味深に笑った。

「魔女の掟は、ギブ&テイクだ。僕は今日、君の提案に全面的に協力した。
それに対する見返りを要求するけど」

あの発言が、協力って?

リリカのサファイアブルーの瞳に黄金の線が、ギラリと光った。

「見返りって・・な、なんだよっ!!」

サリエルは自分の膝を抱え、リリカと視線を合わさないように前を向いた。

「うん、君と初めて会った時、衝撃というか、何かの火花を感じたんだ。
こんな感覚は初めてで、君をもっと知りたいと思った」


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