緋色の徴(しるし)・改訂版・リリカとサリエル 魔法の恋の行方シリーズ
天使が魔女を無害化するために徴(しるし)をつけると、その時点でお互いに<好き>という感情が生まれる。

もちろんその恋愛の期間は、ケースバイケースで長かったり、短かったりするが。

リリカは、大きく息を吸った。

「あのさぁ、アタシ、昨日焼肉食ったんだよね。ニンニクたっぷりのつけだれで」

「それが、何か?」

サリエルが不思議そうな顔をした。

「だから、臭いって言ってんの!!」

サリエルは、鼻をリリカの首筋に近づけた。

「君は・・シナモンと薔薇の香りがする」

こいつは変態だ!!

ニンニクを薔薇の香りに、勝手に脳内で転換している!!

サリエルは、エレベーターの点滅ボタンを指さした。

「キスをしないと、ここからは出られない。さっき操作したからね」

「はぁぁーーーー!!」
リリカは思わず、声を上げてしまった。

「君からキスをして欲しい。ヘタクソって言われると、やっぱりプライドが傷つくんだよね」

サリエルは頬づえをついて、横目でリリカを見た。

まつ毛が長く、鼻筋が通り、唇の形もいい。
彫刻のように、完成された美形なんだけど、中身を相当こじらせている。

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