緋色の徴(しるし)・改訂版・リリカとサリエル 魔法の恋の行方シリーズ
「これで呪いは、コンプリートだ」

アレクサンドラは満足そうに、グルシアを見上げた。

「呪いって・・?」

戸惑うグルシアを横目に、アレクサンドラは指先を振って

「花嫁の呪いだよ。ブーケを投げて、受け取った奴が恋に落ちるという魔女の呪い」

アレクサンドラは罠の中に獲物が入り、大満足という笑顔を見せた。

「じゃぁ、あの結婚式のブーケで、君がリリカ君に呪いをかけた?」

グルシアは感心して、アレクサンドラを見た。

「大丈夫。ダーリンにどんな呪いがかかっても、愛しているからね。アタシも娘も」

「ヒキガエルになってでも?」

「もっちろーーーん、でもダーリンは強いから、呪いはかけられないよ」

その言葉に、グルシアは胸に手を当てて、<ホッとした>というリアクションをした。

「サリエルの初恋の人は、リリカ君か」

「うん、サリエルも恋愛免疫がないぶん、呪いの影響を受けやすいと思う。

それにリリカとサリエルは、変な組み合わせだとは思うけど、<割れ鍋に綴じ蓋>って言うじゃない。
意外と、うまくいくんじゃないかな」

アレクサンドラが楽しそうに言うと、グルシアは真面目に同意のうなずきを返した。

「なるほど。それでは俺たちもヤドリギの下で、愛を確認しておこうか?」

グルシアが提案すると、アレクサンドラは、アイスクリームを食べる時と同じ笑顔を見せた。


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