緋色の徴(しるし)・改訂版・リリカとサリエル 魔法の恋の行方シリーズ

花嫁の呪いの解除

<花嫁の呪いの解除>

波が寄せては引いて、その単調な音が、また眠りをさそう。

開け放した窓からは、曖昧な海と空の境界が見えた。

レースのカーテンが微かな風に揺れるのを、ベッドで横たわったままリリカは見つめていた。

もう昼近くなのに・・
サリエルは、隣でぐっすりと眠りこんでいる。

シーツには緋色の羽が何枚も散らばっているのを、リリカは手に取りクルクルまわした。

サリエルの熱が激しく注がれる度に、アタシが抜いたんだ・・

「さて・・」
これからすべきこと・・リリカはむっくりと起き上がった。

まず、魔界に行って、天使の徴(しるし)が付いたことを報告しなくてはならない。

それから、荷物をまとめて・・どこに行くか。

「花嫁の呪い・・か」

サリエルに、このことを説明しなくてはならないだろう。

自分に徴(しるし)がついたことで、呪いは終了した。

だから呪いの影響から、すぐに目が覚めるだろう。

自分の記憶から、私のことを消去するかもしれない。

リリカは、サリエルが目を覚まさせないように注意して、その額にキスをした。

ひと時の仮初(かりそめ)でも、私を愛してくれたのだ。

するりとベッドから滑り降りると、椅子に引っかけてあった男物の大きいバスローブをはおり、
バックや床に脱ぎ捨てた衣類を素早くかき集めた。
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