緋色の徴(しるし)・改訂版・リリカとサリエル 魔法の恋の行方シリーズ
サリエルは首を傾げた。

「だから、<花嫁の呪い>って言って、花嫁のブーケを受け取った魔女が、
最初に出会った奴と・・・
つまり、徴(しるし)をつける関係になっちゃう呪い」

リリカは早口で言いながら、後ろ手でドアノブを握った。

「へーー、魔女の呪いか。なるほど、なかなか興味深い話だね」

サリエルはあごに手をやり、呪いの種別について、脳内検索をしているのだろう、目が宙に浮いている。

「でもさ、もう解除されたから。
アンタの徴(しるし)がついたし、これで終わりだから。心配しないで」

リリカがくるりと背を向けて、ドアノブをまわしたが開かない。

焦ってガチャガチャと音を立てていると、
サリエルはそのまま大きな翼を広げて、背中からリリカを抱きしめた。

「えーーと、勝手に帰っちゃだめだよ。
昨日、僕たちは天界のヤドリギの下で、キスしたしね。

これって、永遠の愛を誓う呪い?といえるだろう。
君の受けた呪いは、すでに上書きされている」

そう言って、サリエルがリリカの首筋に唇を寄せた。

「あれぇ?バニラの匂いになっている。僕はシナモンが好きなのに」

その言葉で、リリカの全身の力が一気に抜けた。

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