緋色の徴(しるし)・改訂版・リリカとサリエル 魔法の恋の行方シリーズ
百合の花が半分、リリカのお尻の下で、ぺしゃんこにつぶれている。

「言われなくても、こんな胸糞のわりぃ場所、出ていくし。どけや!!」
リリカが悪態をついたので、サリエルが立ち上がった。

「くそっ」
リリカも菩提樹の幹に手をついて、立ち上がろうとした瞬間、

「いてぇっ!!」
体が崩れ、そのままズルズルと背中に幹を接したまま座り込んだ。

「あー、足首、やられちゃったんですね。ヒールも折れている」
サリエルは、腕組みをして冷静に講評した。

「何、眺めてんだよぉ、見せもんじゃねーし!!あっちに行けよ!!」

「ただ、ここは教会の敷地ですから、私の管理下にあります。
魔力のあるものは、普通入れないですから」

サリエルは、屈んでブーケを拾い上げた。

「くそぉ!だから出ていくって、言ってるんだよぉ!」
リリカは四つん這いになって、ズルズル移動しようと試みた。

「このブーケはどうしますか?背中に乗せましょうか?」
サリエルはリリカの膝をついた姿を、面白そうに見ている。

「これから、メチャクチャ腫れてきますよ。歩けなくなるでしょうね」

「くそっ!!」
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