緋色の徴(しるし)・改訂版・リリカとサリエル 魔法の恋の行方シリーズ
リリカは悔しそうに、サリエルの満面の笑顔を見た。

「手を、貸してくれ・・敷地の外まで・・行くから」

「そうですね」
そう言ってサリエルは屈んで、手を差し出したので、リリカはぐぐっと顔をしかめながらもその手を握った。

サリエルが引っ張り上げるように、腕に力を入れたので、リリカは片足立ちでなんとか立ち上がった。

「はい、じゃあ、このブーケを持って」
サリエルが、ブーケを渡した。

「ゲゲッ!!」

ブーケを手に持ったまま、リリカの両足がいきなり持ち上がった。
次の瞬間、サリエルにお姫様抱っこされていたのだ。

「てめぇ、おろせよって!!」
リリカが焦って、足をバタバタさせると

「おろしたいのは山々ですがね。あなたは大魔女ですし。
しかし、怪我をしているので、人道的な配慮、かつ、道徳的にも放っておけないでしょう」

リリカを抱き上げたまま、サリエルは、教会脇の小さな小屋に向かった。

「こっちは物置なので、他の人は来ませんから。
取りあえず、応急処置だけはしましょう。早く冷やさないと」

「・・・」

リリカは、顔を百合のブーケに埋めた。
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