緋色の徴(しるし)・改訂版・リリカとサリエル 魔法の恋の行方シリーズ
動揺して赤くなっているのを、サリエルに見られたくなかったからだ。

物置の脇に小さなベンチがあり、リリカはそこで降ろされた。
「いいですか、ここで待っていてくださいね」

サリエルは教会の脇の扉を開け、振り向いて言った。
「保冷材と湿布を持ってきますから」

「ちぇっ!なんだよ!!」
リリカは舌打ちした。

教会なんて、普段は絶対に来ない場所だ。
今日、ここに来たのは、大魔女のアレクサンドラの結婚式だったからだ。

あいつは、天使の徴(しるし)をつけられて、魔女を廃業することになった。

天使の徴(しるし)・・
これは天使が、ニンゲン界で魔女が邪悪な行動をしないようにする
マーキング管理システムだ。

徴(しるし)とは、ぶっちゃけ、オトコ天使が魔女とにゃにゃにゃの性行為をすると、天使の体液が魔女に注がれて、魔力が使えなくなる事をさす。

魔女にとっては屈辱的な事なのに、あいつは幸せそうな顔をして、しかもこれを投げつけやがった。

リリカは、膝に乗っているマドンナリリーのブーケを見た。

徴(しるし)をつけたのはグルシアという、天界の武闘派、高位の大天使長様だ。
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