梅雨夜景、いとめでたし
「私もこれ以上君の評価を下げるの心苦しい。で?」


で?と上からな態度で促された俺は、結局変わらず勉強を教えることになった。

昔からこういう奴だ。

そして俺も、昔からこういう奴だ。


「病室から教科書持ってくるからちょっと待ってて!」

「おい、待て。」


走って取りに行こうとする環奈の襟首を掴んで引き留めた。


「俺が行く。お前はここで待ってろ。」

「公助…」

「おっ?なんだ、見直したか?」

「探す名目で色々物色する気でしょー」

「するか!教科書、いつもサイドテーブルに出しっぱだろ!探す必要もねーわ!」

「あはっ、そうだった。」


本当に病気なのかと疑わしい俺の幼馴染みは、相変わらず元気だ。

ガンになったと聞いたときも…

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