梅雨夜景、いとめでたし
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「"いとめでたし"は、とても素晴らしいって意味。」
「なるほどー」
「切りが良いし、そろそろ休憩にするか。」
「賛成ー」
「なんか、雨降りそうだな。」
古文の教科書から顔を上げると、空に先程までの青い色はなく、どんよりと重い灰色の雲が覆っていた。
「そうだねー、降る前に中入ろっか。」
テーブルに広げていた物をお互いに抱え、食堂の端の席へと急ぎ移動した。
「あーあ、そろそろ梅雨かなー」
「公助、雨嫌いだっけ?」
「雨、好きなヤツいんの?」
「濡れるのは嫌だけど、私、梅雨時の雨は好きだよ。」
「梅雨限定?」
「梅雨限定。」
「なぜに?」