梅雨夜景、いとめでたし
おまけ
【 約束した日から8年後 】
「何お願いしてたの?凄く長かったけど。しかも真剣な顔で。」
「べ、別になんだって良いだろ!言ったら叶わないかもしんねーし!」
「そんなに叶えたい願いなんだ…なら、深くは聞かないけど。
そうだ、今日、夜から雨だって。映画見終わったらまた神社来ようよ。」
「おっ、おう!」
「なんか、公助、今日おかしくない?落ち着きないっていうか。」
「そ、そんなことねーよ!ねーけど…」
「ねーけど?」
「…お前に言いたいことがある。」
俺は今しかないと、ポケットからリングケースを取り出し、環奈に向けて開けた。
「俺と、結婚して下さい。」
「………。」
「叶えたい願いって、もしかしてこれ?」
「そーだよ!」
「ここ、恋愛成就の神社じゃないよ?」
「知ってるわ!知ってるけど…
お前が好きな場所だから…ここにしようと…思ったんだよ…」
尻窄みになる俺の声に、環奈は「そう、でしたか…」と何故か敬語になる。