冷酷弁護士と契約結婚
鈴音サイド
この1か月、思っていた以上に暮らしやすい。きっと涼介さんがいろいろ気にかけてくれているからだろう。
初めて会った日の事を鮮明に覚えている。とにかく圧があり冷たい印象で、
あの日私は彼から言われたことで、とても傷ついた......
先日このことを彼に伝えると、彼自身に罪悪感があったらしく謝罪された。
あんな最悪な出会いではあったけれど、結局私に救いの手を差し伸べてくれたのは涼介さんだけ。
あっ、お義父《とう》さんも。
私は男の人が苦手だ。今まで嫌な思いを沢山してきたから。
だからお付き合いも手をつないだこともない。
契約内容にスキンシップと手をつないで寝るって見たときは、心臓が止まるかと思った。
だって涼介さんは好きでもない人と、いわゆる大人の関係になれるって言ってたし......
きっと私が男性に免疫がないと分かっていたのだろう。
初めの1週間一緒に手をつないで寝ることになかなか慣れず、緊張と怖さで寝不足になったのを覚えている。
約束通り涼介さんはただ手をつないで眠るだけで、私が嫌がることや怖がることを一切しない。
最近では以前にもまして人目をはばからずにスキンシップや甘い言葉をかけてくれるので、本気になりそうで怖い。
伊集院総合法律事務所創立記念パーティーに出席した時、改めて彼がモテると実感した。
パーティールームへ入った瞬間、あちらこちらから女性たちの色気を含んだ熱い眼差し。
入れ替わり立ち代わりで女性たちが彼に話しかけボディータッチをしてくる。
まるで彼女たちには一緒にいる私が見えないかのように......
彼女たちと比べたら私は色気も家柄もない。
あるのは子供っぽさだけ。
本当は私の涼介さんにさわらないでほしかった。
そんな彼女たちに、あの冷たい目でハッキリと私の事を妻と紹介してくれた。
その時の女性たちの悪意に満ちた目が私に向けられたのは言うまでもない。
それでもほとんどの方たちは祝福してくれたが、
中には私に面と向かって暴言を吐いた女性たちもいた。
『どうやって涼介さんに取り入ったの?』
『涼介さんと不釣り合い』
『純情そうな顔して、この泥棒猫が!』
そのうちの一人が私の左手の指輪を無理矢理取ろうとし、
手の甲にひどいひっかき傷が残り大騒ぎに発展。
悲しくて、怖くて、驚いて......
色々な感情で頭がいっぱいになって俯いていたら、
涼介さんは彼女から私を守るかのように抱き寄せ、
今まで聞いたことのないくらい冷たい声で言い放った。
「私の妻を侮辱するな。これ以上彼女に何かをしたり言ったりしたら、私が許さない。
伊集院家総出で相手になる。これがどの様な意味だかお分かりだろう」
たまたま側にいたおじいちゃんとお義父さんも援護してくれ、
「うちの可愛い孫娘に何をしてくれた、こんな怪我をさせて!わしが鈴ちゃんを伊集院家の、涼介の嫁と認めておるんじゃ」
「皆さん、私の義娘《むすめ》を貶める発言はやめていただきたい。それからこれは傷害事件として扱いますよ」
この言葉を聞いた彼女たちの親たちがみんな私たちに平謝りで、私は初めて土下座する人を見た。
それにしても涼介さんといい、おじいちゃん、お義父さんって何者?
普通の弁護士ではないの?
涼介さんはただ演技しているって分かっているけれど、嬉しかった。
伊集院家のみんなにもよくしてもらっている。
私たちの関係が本物の夫婦になってずっと一緒にいられたらと、
何度涼介さんから本当に愛されたらと思ったことか。
離婚の時、私は笑ってありがとうと言えるのかしら?
初めて会った日の事を鮮明に覚えている。とにかく圧があり冷たい印象で、
あの日私は彼から言われたことで、とても傷ついた......
先日このことを彼に伝えると、彼自身に罪悪感があったらしく謝罪された。
あんな最悪な出会いではあったけれど、結局私に救いの手を差し伸べてくれたのは涼介さんだけ。
あっ、お義父《とう》さんも。
私は男の人が苦手だ。今まで嫌な思いを沢山してきたから。
だからお付き合いも手をつないだこともない。
契約内容にスキンシップと手をつないで寝るって見たときは、心臓が止まるかと思った。
だって涼介さんは好きでもない人と、いわゆる大人の関係になれるって言ってたし......
きっと私が男性に免疫がないと分かっていたのだろう。
初めの1週間一緒に手をつないで寝ることになかなか慣れず、緊張と怖さで寝不足になったのを覚えている。
約束通り涼介さんはただ手をつないで眠るだけで、私が嫌がることや怖がることを一切しない。
最近では以前にもまして人目をはばからずにスキンシップや甘い言葉をかけてくれるので、本気になりそうで怖い。
伊集院総合法律事務所創立記念パーティーに出席した時、改めて彼がモテると実感した。
パーティールームへ入った瞬間、あちらこちらから女性たちの色気を含んだ熱い眼差し。
入れ替わり立ち代わりで女性たちが彼に話しかけボディータッチをしてくる。
まるで彼女たちには一緒にいる私が見えないかのように......
彼女たちと比べたら私は色気も家柄もない。
あるのは子供っぽさだけ。
本当は私の涼介さんにさわらないでほしかった。
そんな彼女たちに、あの冷たい目でハッキリと私の事を妻と紹介してくれた。
その時の女性たちの悪意に満ちた目が私に向けられたのは言うまでもない。
それでもほとんどの方たちは祝福してくれたが、
中には私に面と向かって暴言を吐いた女性たちもいた。
『どうやって涼介さんに取り入ったの?』
『涼介さんと不釣り合い』
『純情そうな顔して、この泥棒猫が!』
そのうちの一人が私の左手の指輪を無理矢理取ろうとし、
手の甲にひどいひっかき傷が残り大騒ぎに発展。
悲しくて、怖くて、驚いて......
色々な感情で頭がいっぱいになって俯いていたら、
涼介さんは彼女から私を守るかのように抱き寄せ、
今まで聞いたことのないくらい冷たい声で言い放った。
「私の妻を侮辱するな。これ以上彼女に何かをしたり言ったりしたら、私が許さない。
伊集院家総出で相手になる。これがどの様な意味だかお分かりだろう」
たまたま側にいたおじいちゃんとお義父さんも援護してくれ、
「うちの可愛い孫娘に何をしてくれた、こんな怪我をさせて!わしが鈴ちゃんを伊集院家の、涼介の嫁と認めておるんじゃ」
「皆さん、私の義娘《むすめ》を貶める発言はやめていただきたい。それからこれは傷害事件として扱いますよ」
この言葉を聞いた彼女たちの親たちがみんな私たちに平謝りで、私は初めて土下座する人を見た。
それにしても涼介さんといい、おじいちゃん、お義父さんって何者?
普通の弁護士ではないの?
涼介さんはただ演技しているって分かっているけれど、嬉しかった。
伊集院家のみんなにもよくしてもらっている。
私たちの関係が本物の夫婦になってずっと一緒にいられたらと、
何度涼介さんから本当に愛されたらと思ったことか。
離婚の時、私は笑ってありがとうと言えるのかしら?