0.0001%の恋
「深山さんもイケメンですよねー!」
『も』って‥‥亜子ちゃんのいう『イケメン』が、明らかに俺ではない誰かを指していることに、うなだれずにはいられない。
「でも私はやっぱり、王道の王子様系イケメンに弱かったみたいなんです。もうキラキラでメロメロなんです」
王子様‥‥キラキラでメロメロ‥‥言葉の意味はわかるが、理解することを脳が拒否してる。亜子ちゃんが誰の話をしているのか、わかってしまった気がした。
「はああ‥‥田中さん、本っ当にかっこいい」
ですよねー。田中さんのことを思い出しているのか、亜子ちゃんが蕩けるような表情で微笑んでいる。‥‥くそっ!滅茶苦茶かわいいなっ!
「でも雷に打たれる確率は0.0001%なんです」
「ん?雷?」
「そう、雷。打たれたくても打たれない。ほぼ不可能です。でもいいの。見てるだけで癒されるから。あー‥‥そうか。私にとって田中さんはクラゲみたいな感じなのかも?見てるだけなら綺麗で癒されるし、刺されて死ぬこともあるんじゃない?それにクラゲに刺されても致死率は低そう‥‥でもクラゲは電撃じゃなくて毒‥‥似てるけどなんかちょっと違う‥‥?」
亜子ちゃんがなんの話をしてるのか、わかるようなわからないような‥‥?田中さんのことが好きだけど、恋人になるのは不可能ってことだろうか?
田中さんは確かにかっこいいし、仕事ができて有能だ。亜子ちゃんが憧れる気持ちもよくわかる。だからって、不可能ではないと思ってしまうのは、俺が亜子ちゃんに惚れてるからなんだろうか?
まあ、田中さんに決まった相手がいたらどうしようもない話だし、もしかしたら亜子ちゃんは何か知ってるのかもしれない。それでこんな雷だとかクラゲだとか、訳のわからないことを言い出してるのだろう。
それに下世話な話、亜子ちゃんの恋の行方次第では、俺にもまだ可能性があるかもしれないのだ。諦めるにはまだ早い。
「亜子ちゃん、大分酔ってるんじゃない?そろそろ帰ろうか?タクシー呼ぶ?」
「いえ!大丈夫です!お兄ちゃんに迎えに来てもらいまーす!」
はあああ‥‥まじか‥‥酔った亜子ちゃんの破壊力、半端ないな。
お兄さんが店のそばまで来てくれるそうなので、なんだか危なっかしい感じの亜子ちゃんを放置することもできず、一緒に外で待つことにした。うしろめたいことは特にないが、家族に会うのはなんだか気まずい。
そんなことを考えていた10分後、俺は別の意味での気まずさを感じることとなった。
「ああ、深山君。妹が迷惑をかけたようで、すまなかった」
常務‥‥?え?うちの会社の常務だよな?え?何?どういうこと?
亜子ちゃんを助手席に詰め込んでドアを閉めた後、常務が俺に近づいてきた。
「妹は俺や父との関係を会社で知られたくないようなんだ。だからこのことは口外しないでもらえると助かる」
亜子ちゃんは社長令嬢だった。元々そう高くもない可能性が、更に低くなった瞬間である。
『も』って‥‥亜子ちゃんのいう『イケメン』が、明らかに俺ではない誰かを指していることに、うなだれずにはいられない。
「でも私はやっぱり、王道の王子様系イケメンに弱かったみたいなんです。もうキラキラでメロメロなんです」
王子様‥‥キラキラでメロメロ‥‥言葉の意味はわかるが、理解することを脳が拒否してる。亜子ちゃんが誰の話をしているのか、わかってしまった気がした。
「はああ‥‥田中さん、本っ当にかっこいい」
ですよねー。田中さんのことを思い出しているのか、亜子ちゃんが蕩けるような表情で微笑んでいる。‥‥くそっ!滅茶苦茶かわいいなっ!
「でも雷に打たれる確率は0.0001%なんです」
「ん?雷?」
「そう、雷。打たれたくても打たれない。ほぼ不可能です。でもいいの。見てるだけで癒されるから。あー‥‥そうか。私にとって田中さんはクラゲみたいな感じなのかも?見てるだけなら綺麗で癒されるし、刺されて死ぬこともあるんじゃない?それにクラゲに刺されても致死率は低そう‥‥でもクラゲは電撃じゃなくて毒‥‥似てるけどなんかちょっと違う‥‥?」
亜子ちゃんがなんの話をしてるのか、わかるようなわからないような‥‥?田中さんのことが好きだけど、恋人になるのは不可能ってことだろうか?
田中さんは確かにかっこいいし、仕事ができて有能だ。亜子ちゃんが憧れる気持ちもよくわかる。だからって、不可能ではないと思ってしまうのは、俺が亜子ちゃんに惚れてるからなんだろうか?
まあ、田中さんに決まった相手がいたらどうしようもない話だし、もしかしたら亜子ちゃんは何か知ってるのかもしれない。それでこんな雷だとかクラゲだとか、訳のわからないことを言い出してるのだろう。
それに下世話な話、亜子ちゃんの恋の行方次第では、俺にもまだ可能性があるかもしれないのだ。諦めるにはまだ早い。
「亜子ちゃん、大分酔ってるんじゃない?そろそろ帰ろうか?タクシー呼ぶ?」
「いえ!大丈夫です!お兄ちゃんに迎えに来てもらいまーす!」
はあああ‥‥まじか‥‥酔った亜子ちゃんの破壊力、半端ないな。
お兄さんが店のそばまで来てくれるそうなので、なんだか危なっかしい感じの亜子ちゃんを放置することもできず、一緒に外で待つことにした。うしろめたいことは特にないが、家族に会うのはなんだか気まずい。
そんなことを考えていた10分後、俺は別の意味での気まずさを感じることとなった。
「ああ、深山君。妹が迷惑をかけたようで、すまなかった」
常務‥‥?え?うちの会社の常務だよな?え?何?どういうこと?
亜子ちゃんを助手席に詰め込んでドアを閉めた後、常務が俺に近づいてきた。
「妹は俺や父との関係を会社で知られたくないようなんだ。だからこのことは口外しないでもらえると助かる」
亜子ちゃんは社長令嬢だった。元々そう高くもない可能性が、更に低くなった瞬間である。