失恋したはずなのに、エリート警察官僚の再会執愛が止まりません
(友だちにメッセージ入れるみたいに……自然に。重いって思われないように)
そうだ、拓実に入れるのと同じだと思えば。
メッセージを一度すべて消して、もう一度入力していく。
久しぶり~と入れて、彼に対してそんなにフランクじゃなかったと肩を落とす。
(ほんとに……なにしてるんだろ……私)
三十分悩んだ末、私は『お久しぶりです。夏休みはいかがでしたか? 私は今日から学校です。外がめっちゃ暑いです』そう書いて、すぐさま送信した。
読み返して「日記か」と自分にツッコんだものの、そこまでおかしくはないはずだ。
やはり貴一さんへのメッセージはすぐに既読にならなかった。
おそらく、まだ忙しいのだろう。
私は食べ終えたハンバーガーの包みを丸めると、残ったドリンクを一気に飲み干し、席を立った。今日は始業式のためペンケースしか持っておらず、勉強をして時間を潰すこともできない。
その日の夜、貴一さんからメッセージの返事が届いた。
私はそれを見てほっと胸を撫で下ろした。
(なんだ……まだ夏休みだったんだ……よかった)
ただ、自分がなにもしなかったら、このまま貴一さんと会えなくなってしまうような、そんないやな予感がじわじわと胸を覆う。
私はそんな予感を振り払うようにメッセージアプリを閉じた。
(気のせいだよね……だって、ちゃんとメッセージに返信はあるし)
じゃあ、また。
私はそんなスタンプを送った。
けれど、そのメッセージに返事はなかった。
それから一ヶ月が経って、私は無事に定期テストを乗り切った。
今回は補習が一科目もなかったのだ。その結果を通学鞄に入れて、ファストフード店へと急ぐ。
テストの点は平均点を大幅に上回り、選抜クラスで十位に入っていたのだ。
貴一さんの夏休みも終わったはずだ。もしかしたら会えるかもしれないと期待して、私はファストフード店の階段を駆け上がった。
(いないか……)
またもや汗だく状態で二階席を見回すが、彼の姿はなかった。
スマートフォンで時刻を見ると、十六時十分。
(大学始まったって……毎日、来るわけじゃない……きっと用事があるんだよね)
(でも、来られない日は、連絡くれたのに)
日を追うごとに、いやな予感は大きくなっていった。
避けられているのかもしれない。それが予感ではなく、ただの事実として突きつけられていると感じた。
私たちの関係は、こんなにも呆気なく切れてしまう脆弱なものだったのだ。
友人よりは深い関係になっていると思っていたのは私だけ。
二ヶ月も会えなくて寂しいと感じているのは私だけ。
貴一さんは、メッセージ一つ送らず、私と会えなくなっても困りはしないのだと気づくと、自分と彼の気持ちの差を突きつけられたようで、悔しくて悲しかった。
私は拓実を誘って、店を訪れた。今日は授業があったため勉強道具を持っていたのだが、定期テストが終わってから、私は勉強にまったく身が入っていない。
「全然、勉強に身が入ってないな」
「だって……」
「だって、じゃねぇだろ」
拓実は持っていたシャーペンをテーブルに置くと、呆れたようにため息をつき、水滴のついたカップを持ち上げた。
三分の一ほど残っていた炭酸を一気に飲み干してトレイに戻す。
そうだ、拓実に入れるのと同じだと思えば。
メッセージを一度すべて消して、もう一度入力していく。
久しぶり~と入れて、彼に対してそんなにフランクじゃなかったと肩を落とす。
(ほんとに……なにしてるんだろ……私)
三十分悩んだ末、私は『お久しぶりです。夏休みはいかがでしたか? 私は今日から学校です。外がめっちゃ暑いです』そう書いて、すぐさま送信した。
読み返して「日記か」と自分にツッコんだものの、そこまでおかしくはないはずだ。
やはり貴一さんへのメッセージはすぐに既読にならなかった。
おそらく、まだ忙しいのだろう。
私は食べ終えたハンバーガーの包みを丸めると、残ったドリンクを一気に飲み干し、席を立った。今日は始業式のためペンケースしか持っておらず、勉強をして時間を潰すこともできない。
その日の夜、貴一さんからメッセージの返事が届いた。
私はそれを見てほっと胸を撫で下ろした。
(なんだ……まだ夏休みだったんだ……よかった)
ただ、自分がなにもしなかったら、このまま貴一さんと会えなくなってしまうような、そんないやな予感がじわじわと胸を覆う。
私はそんな予感を振り払うようにメッセージアプリを閉じた。
(気のせいだよね……だって、ちゃんとメッセージに返信はあるし)
じゃあ、また。
私はそんなスタンプを送った。
けれど、そのメッセージに返事はなかった。
それから一ヶ月が経って、私は無事に定期テストを乗り切った。
今回は補習が一科目もなかったのだ。その結果を通学鞄に入れて、ファストフード店へと急ぐ。
テストの点は平均点を大幅に上回り、選抜クラスで十位に入っていたのだ。
貴一さんの夏休みも終わったはずだ。もしかしたら会えるかもしれないと期待して、私はファストフード店の階段を駆け上がった。
(いないか……)
またもや汗だく状態で二階席を見回すが、彼の姿はなかった。
スマートフォンで時刻を見ると、十六時十分。
(大学始まったって……毎日、来るわけじゃない……きっと用事があるんだよね)
(でも、来られない日は、連絡くれたのに)
日を追うごとに、いやな予感は大きくなっていった。
避けられているのかもしれない。それが予感ではなく、ただの事実として突きつけられていると感じた。
私たちの関係は、こんなにも呆気なく切れてしまう脆弱なものだったのだ。
友人よりは深い関係になっていると思っていたのは私だけ。
二ヶ月も会えなくて寂しいと感じているのは私だけ。
貴一さんは、メッセージ一つ送らず、私と会えなくなっても困りはしないのだと気づくと、自分と彼の気持ちの差を突きつけられたようで、悔しくて悲しかった。
私は拓実を誘って、店を訪れた。今日は授業があったため勉強道具を持っていたのだが、定期テストが終わってから、私は勉強にまったく身が入っていない。
「全然、勉強に身が入ってないな」
「だって……」
「だって、じゃねぇだろ」
拓実は持っていたシャーペンをテーブルに置くと、呆れたようにため息をつき、水滴のついたカップを持ち上げた。
三分の一ほど残っていた炭酸を一気に飲み干してトレイに戻す。