失恋したはずなのに、エリート警察官僚の再会執愛が止まりません

　忙しくてもほんの少しの時間も取れなかったのかと、貴一さんを責めたい気持ちになってしまう。夏休み明けにたった一度でも顔を合わせていたら、十年もすれ違わなかったのではないかと思ってしまうから。

「ごめん。それについて話すのは、少し待ってくれる？　ただ、俺が今、瑠衣を好きだってことは信じてほしい」
「もちろん、信じてます」
「瑠衣から話を聞く前に、話さなきゃならない相手がいるんだ」
「話さなきゃならない相手って？」

　私が聞くと、それは言えないと首を横に振った。
　そして強引に話を変えられる。

「ね、拓実くんとの食事、俺も行っていい？」
「もしかして……さっき」
「うん？」
「……やっぱり、嫉妬してくれてました？」

　すると、頭ごと抱き寄せられて、正解だとばかりに頭頂部にキスを贈られた。
　甘えるようにもう一度その胸に腕を回して、私は彼を見上げる。

「当たり前だろ。好きな人が男と二人きりで会うのを見過ごせるわけないじゃないか」

　拗ねたような言い方が珍しくてつい噴きだすように笑うと、後頭部を引き寄せられて、強引に唇が重ねられたのだった。