失恋したはずなのに、エリート警察官僚の再会執愛が止まりません
 あまりの息苦しさに彼の胸をとんと叩くと、その手を取られて、ベッドに押し倒された。

「十五分しかないけど、やっぱり、さっきの続きしていい?」

 せっかく締めたネクタイを外す貴一さんは、凄絶な色気を纏っており、私は思わず息を呑んだ。丸ごと食らい尽くされそうな獰猛な気配を感じて、身動ぐことさえできない。

 スカートからシャツが引っ張りだされて、性急な手つきで捲り上げられた。唇が滑るように顎を辿り、首筋に噛みつくようなキスが贈られる。

「はぁ……っ、ン」

 ちりっと痛みが走り、身体を震わせると、あっという間に下着が取り払われて、彼がのしかかってきた。
 キスだけで昂っていた身体は、慣らすことなく貫かれても容易く快感を拾い上げる。そうしたのはほかでもない彼だ。

「あ~ごめん、ほんと余裕ない。痛かったらごめん」

 貴一さんは額に滲む汗を手の甲で拭い、私の足を抱え直した。服さえ脱がない荒っぽい行為であったが、その余裕のなさが嬉しくて、私はキスをねだるように首に腕を回す。

 荒々しい動きなのに、キスだけは丁寧だった。私が感じられるように、舌を絡めて、あますところなく口腔を舐られる。
 キスによりまんまと昂った身体をさらに激しく穿たれる。気が遠くなるほどの充足感に包まれ、彼の吐きだす熱を受け止めたのだった。


 そしてきっかり十五分後。
 私は貴一さんを見送るため、気怠い身体を起こして玄関に向かった。

「行ってらっしゃい」
「行ってきます。今日は遅くなるかもしれないから、鍵は絶対に忘れないこと。あと、帰りもちゃんと拓実くんに送ってもらって」
「わかってます」
「起きて待ってなくていいからね」
「夕ご飯は?」
「大丈夫。コンビニで買って職場で食べる」

 それでは身体に悪いのではないか。
 昼はまともに食べられるといいが、忙しかったらそんな時間もないかもしれない。コンビニ食で済ませるのはいつものことなのだろうか。
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