失恋したはずなのに、エリート警察官僚の再会執愛が止まりません
 第七章

 貴一さんと夫婦になって一年が経った。
 私は今日、ようやく彼と結婚式を挙げる。

 挙式披露宴会場である文化財に指定された邸宅は、まるで昔の映画でも観ているかのような歴史を感じさせる重厚な建物だ。
 英国式の建物でありながらも日本文化がそこかしこに取り入れられており、落ち着いた雰囲気になっている。
 その建物の前にある広大な庭園に真っ白な椅子が並べられ、招待客の拍手を浴びながら私は父にエスコートされてバージンロードを歩いた。

 Aラインのドレスの上半身はレースのハイネックとロングスリーブとなっており、ぴたりと貼りついたデザインは私の体型をより美しく見せてくれる。
 スカート部分には光沢感のあるシルクサテンオーガンジーが使用され、特徴的な長いレースのドレープが美しく折り重なっている。
 肩を出すデザインだけはだめだと貴一さんに言われて選んだドレスだが、佇まいを優雅に見せてくれるため、私もかなり気に入っていた。

 貴一さんから伸ばされた手に手を重ねて、彼の腕をそっと掴む。牧師の前に立ち、貴一さんをそっと窺うように見ると、目が合い幸せそうな笑みを向けられた。

 幸せになろうね、そう言われているようで、胸がじんと熱くなる。
 もうとっくに私は貴一さんからたくさんの幸せをもらっているけれど、私も同じだけの幸せを返せているだろうか。

「新郎 貴一さん、あなたは瑠衣さんを妻とし、健やかなるときも病めるときも、喜びのときも悲しみのときも、富めるときも貧しいときも、これを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか」
「はい、誓います」

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