失恋したはずなのに、エリート警察官僚の再会執愛が止まりません
「瑠衣のウェディングドレス姿、綺麗だったよ」
「惚れ直した?」
「毎日惚れてる」

 貴一さんの顔が不意に近づいてきて、唇が優しく塞がれた。
 肩をとんと軽く押されベッドに倒れ込むと、彼が覆い被さってくる。
 覆い被さる身体の重さにも慣れたし、キスの仕方にも慣れた。
 何度となく抱きあっているはずなのに、始まりの合図のキスをされる度に私の胸ははち切れんばかりの音を立てるのだ。

「私も……毎日、好きだなぁって思うの。高校生のころから、あなたしか見えないみたい。一目惚れだったのかな」

 彼の口づけを受け止め、背中に腕を回す。
 角度を変えながらキスをしていると、徐々にキスは深くなり、身体が昂っていく。そうやって、彼はキスだけで私の官能のスイッチを押してしまうのだ。

「はぁ……っ、ね、お風呂、入ってない、から」

 丁寧に一枚ずつ服が脱がされて、私も彼のシャツに手をかける。彼のワイシャツのボタンを上から外し、互いに裸になったところで、身体を持ち上げられた。

「きゃぁっ、き、貴一さん!?」
「ほら、今日は初夜だし、一緒にお風呂に入ろう」

 結婚式を今日挙げただけで初夜はとっくに済ましているのでは、と思ったし、二人で風呂に入るのもそう珍しくはないから、雰囲気の問題なんだろうなと彼に身を任せた。

 バスルームに運ばれ、床にそっと下ろされた。

「も~、びっくりした!」
「そう? お姫様抱っこって楽しいよね。いつまでできるかな。あと二十年くらい?」

 貴一さんは磨き上げられた丸いバスタブに湯を張りながら、楽しげな声を漏らす。
 あと二十年だなんて。
 お姫様抱っこなんてできなくていいけれど、そのときも今と同じように私を愛していてくれますようにと願ってしまう。

「貴一さん、五十歳過ぎてるよ。ぎっくり腰になっちゃう」
「そうかも。じゃあ無理しない程度に抱っこするよ」
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