年下上司の溺愛は甘すぎる

幸せの絶頂、からの地獄行き

「ん⋯⋯」


身体に心地よい体温と重みを感じゆっくりと目を開けると見慣れた天井が広がっている。
寝起きのボーッとした思考の中で横を向くと私の身体をギュッと抱きしめて眠る愛しい人がいた。


穏やかな表情で静かな寝息を立てて眠るその顔を見ると、自然と口角が緩やかに上がり愛しさが込み上げてくる。
彼は私、早川瀬奈(はやかわせな)の婚約者である明石光輝(あかいしこうき)という同じ会社で働く同僚だ。


布団の中で絡まる足をゆっくり抜き、起こさないようにそっとベッドを出た。
部屋の中は薄暗くスマートフォンを確認すると既に夜の18時を示している。


五月下旬、布団の中は温かく外に出していた腕はひんやりと冷たかった。
光輝と艶めかしく何度も求め合い疲れてお互い眠ってしまっていたようだ。


身体には甘く幸せな疲労感が残っているものの、これは彼が私を愛してくれた証だった。
床に散らばった下着を着け、オーバーサイズのシャツとスウェットを着て胸下ほどの長さの茶髪をひとつにまとめる。


そのままキッチンへ向かうと冷蔵庫を開けて食材を探した。
光輝と一緒に暮らすこの家の冷蔵庫には彼の大好きなビールが常に
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