年下上司の溺愛は甘すぎる
私は大手ジュエリーショップ"electra"でジュエリーデザイナーとして働いており、光輝は店頭での販売員として働いていた。
大学卒業後に入社して出会った同期で、その時期に付き合い始めたため三年半ほどのお付き合いだ。


26歳の誕生日に光輝からプロポーズされ私たちは正式に婚約者となった。
幸せの絶頂とは今のことなんだろうと思う。


冷蔵庫から取り出した玉ねぎとチキン、ピーマンをまな板の上で細かく刻んでいく。
トン、トン、トンとリズム良く食材を刻む音が部屋に響きとても心地よい。


食材を刻み終えるとフライパンを熱し油をひいて一気に食材を炒めていく。
適度に火が通ったタイミングで鍋肌にケチャップを追加し食材と混ぜ合わせる。
ケチャップに熱をしっかり入れることで酸味が和らぐらしくこのひと手間を欠かさなかった。


「⋯瀬奈〜⋯?」


リビングの方から聞こえてきたのは間延びした寝起きの光輝の声だった。
起きたばかりで寝ぼけているような掠れた声を聞くと先程までの情熱的な交わりの記憶が蘇る。
耳元で囁く彼の甘い声が思い出されるようだ。
< 3 / 11 >

この作品をシェア

pagetop