大嫌いで大の苦手な強面上司が私だけに優しくしてくるなんて聞いていない
フライドポテトはかなり細めだが塩気がしっかりと効いていてこれも美味しい。ソースはケチャップとチーズの2つあり本条部長は主にチーズの方を付けて食べていた。
(もしかしたらチーズはわりと好みなのかな?)
「部長、その……チーズこのみだったりします?」
「あ、確かにそうかもですね……美味しいですよね、このソース」
(やっぱり普段はそこまで食べたり味を楽しんだりしないんだな……)
食事を終えた後は互いに片づけをして用を足してから本条部長の車に乗り込んだ。
「では動きますよ」
「お願いします」
高速道路を走る事20分。途中景色は開けた田園地帯から次第に海岸線へと移り変わる。海が近くなった所で一般道へと降りてそこからさらに工場地帯へと入り目的地へと到着した。
目的地は大きな工場。化学系の大きな工場で、業界でもトップクラスに有名な会社の工場である。一見すると売り込む商品である血圧計とは関係なさそうに見える。
しかしこの工場長が社員の健康促進と中々健康診断にいけない社員の事情を鑑み、血圧計だけでも導入したいと言う希望が今回の商談に繋がっているそうだ。
「あ」
どうやら新入社員の見学会がここで行われているらしい。工場のすぐ目の前では黄色いヘルメットを被ったスーツ姿の新入社員30人くらいが灰色のつなぎを着た中年くらいの男性社員と30代くらいの女性社員から説明を受けている。
「この工場では主に……○○の製品を……」
新入社員は皆説明を聞きながら黒いバインダーに挟まれた紙にシャーペンで何やら書き込んでいた。メモみたいなものだろうか。
「懐かしいですね。私にもこのような時代がありました」
本条部長は新入社員を横目で見ながらそうつぶやき、工場内へと足を踏み入れていった。私はそれを後ろからついていく。重厚感のあるガラスの扉を本条部長が開き、右側にある受付へと挨拶をすると、私より年上そうな受付嬢から左側にある通路の奥にある応接室で座って待っていてくださいと告げられた。
応接室へ入り私は本条部長の右側……下座へと座る。ほどなくして営業相手となる工場長が入室してきたので立ち上がって挨拶の後に名刺交換を行う。工場長は恰幅の良い初老の男性。ちょび髭を蓄えており黒いスーツの上から灰色の作業着を羽織っている。
「初めまして。ふむ、本条君はアシスタントを新たに導入したのかね?」
「はい、そうです。彼女にほれ込んで導入いたしました」
「おおう! となると本条君の未来の奥様かな?」
ぐふふふと笑う工場長。いやいや、本条部長と結婚だなんてそんな事まずありえない! なのに脳内では彼と結婚式を挙げる私の図がフラッシュバックのようにちらついてしまう。
「いやいや! そんな……!」
と、私は否定するが本条部長に手で遮られた。
(もしかしたらチーズはわりと好みなのかな?)
「部長、その……チーズこのみだったりします?」
「あ、確かにそうかもですね……美味しいですよね、このソース」
(やっぱり普段はそこまで食べたり味を楽しんだりしないんだな……)
食事を終えた後は互いに片づけをして用を足してから本条部長の車に乗り込んだ。
「では動きますよ」
「お願いします」
高速道路を走る事20分。途中景色は開けた田園地帯から次第に海岸線へと移り変わる。海が近くなった所で一般道へと降りてそこからさらに工場地帯へと入り目的地へと到着した。
目的地は大きな工場。化学系の大きな工場で、業界でもトップクラスに有名な会社の工場である。一見すると売り込む商品である血圧計とは関係なさそうに見える。
しかしこの工場長が社員の健康促進と中々健康診断にいけない社員の事情を鑑み、血圧計だけでも導入したいと言う希望が今回の商談に繋がっているそうだ。
「あ」
どうやら新入社員の見学会がここで行われているらしい。工場のすぐ目の前では黄色いヘルメットを被ったスーツ姿の新入社員30人くらいが灰色のつなぎを着た中年くらいの男性社員と30代くらいの女性社員から説明を受けている。
「この工場では主に……○○の製品を……」
新入社員は皆説明を聞きながら黒いバインダーに挟まれた紙にシャーペンで何やら書き込んでいた。メモみたいなものだろうか。
「懐かしいですね。私にもこのような時代がありました」
本条部長は新入社員を横目で見ながらそうつぶやき、工場内へと足を踏み入れていった。私はそれを後ろからついていく。重厚感のあるガラスの扉を本条部長が開き、右側にある受付へと挨拶をすると、私より年上そうな受付嬢から左側にある通路の奥にある応接室で座って待っていてくださいと告げられた。
応接室へ入り私は本条部長の右側……下座へと座る。ほどなくして営業相手となる工場長が入室してきたので立ち上がって挨拶の後に名刺交換を行う。工場長は恰幅の良い初老の男性。ちょび髭を蓄えており黒いスーツの上から灰色の作業着を羽織っている。
「初めまして。ふむ、本条君はアシスタントを新たに導入したのかね?」
「はい、そうです。彼女にほれ込んで導入いたしました」
「おおう! となると本条君の未来の奥様かな?」
ぐふふふと笑う工場長。いやいや、本条部長と結婚だなんてそんな事まずありえない! なのに脳内では彼と結婚式を挙げる私の図がフラッシュバックのようにちらついてしまう。
「いやいや! そんな……!」
と、私は否定するが本条部長に手で遮られた。