大嫌いで大の苦手な強面上司が私だけに優しくしてくるなんて聞いていない
「ま、まおで……いいです」
「わかりました。ではそのように呼ばせていただきますね」
心なしか嬉しそうに見える本条部長。まあ名字で呼ばれるより下の名前の方がまだましな気持ちはあるけど。
「では最初に昨日までの営業成績を社員ごとにグラフにまとめてくださいますか? 資料はパソコンの共有フォルダ内にあります」
「は、はい!」
「期間は先週から昨日までの1週間です。では」
「あ、あの!」
一体何時までに済ませなければならないのか。本条部長の事だから早めに済ませないと怒られそうだけど……。
「期日は……」
「今日中に終わらせてくだされば」
(今日中?!秒で作れとかじゃないんだな?!)
「わ、わかりました! では作ります!」
良かった。今日中なら余裕で完成できる。秒で作れとか言われたら無理だと感じた所だった。
「終わりましたら印刷して私の所まで持ってきてください」
「はい!」
とりあえずまずノートパソコンを起動してソフトを立ち上げつつ共有フォルダから売上データを引っ張りだした。
データを見る感じ、皆そこまで大差は無いように見える。
(やっぱり優秀なんだな、皆。もしかしたら本条部長のおかげもあるのかもしれないけど)
グラフを作成しながら、ちらっと他のデスクを見渡してみる。私と本条部長以外に人はいない。皆営業に出たようだ。
(早いな……。駄目だ早くグラフ作らないと)
グラフは案外早く作り終える事が出来た。売上データにある数字を打ち込むくらいで余計な作業が無かったのが時短になっただろう。
早速印刷して本条部長に渡そうとする。しかしカタカタとパソコンのキーボードを打ち続ける本条部長からは近寄りがたいオーラが醸し出されていて近づきづらいし声もかけづらい!
(頑張れ、私!)
「あの! ぐ、グラフ出来ました!」
「ありがとう。確認するから見せてほしい」
「は、はい、どうぞ……!」
ありがとうと穏やかな笑みを持って言われたのでさらに動揺してしまう。
「うん、完璧です。とてもわかりやすいです。ありがとうございます」
「え……え?!」
完璧……完璧?! 私の作ったグラフが?! そんな事無いだろう。どうせ本条部長の事だからこっそり手直ししそうなもんだ。騙されては……。
「どこからどう見ても完璧な仕上がりです。私が言うのもなんですがもっと自信を持って良いかと」
「は……はい、そのあ、ありがとう、ございます……」
私は言葉に詰まりながらも必死にありがとうございます。を口から吐き出す。すると本条部長がすっとデスクから立ち上がった。
「わかりました。ではそのように呼ばせていただきますね」
心なしか嬉しそうに見える本条部長。まあ名字で呼ばれるより下の名前の方がまだましな気持ちはあるけど。
「では最初に昨日までの営業成績を社員ごとにグラフにまとめてくださいますか? 資料はパソコンの共有フォルダ内にあります」
「は、はい!」
「期間は先週から昨日までの1週間です。では」
「あ、あの!」
一体何時までに済ませなければならないのか。本条部長の事だから早めに済ませないと怒られそうだけど……。
「期日は……」
「今日中に終わらせてくだされば」
(今日中?!秒で作れとかじゃないんだな?!)
「わ、わかりました! では作ります!」
良かった。今日中なら余裕で完成できる。秒で作れとか言われたら無理だと感じた所だった。
「終わりましたら印刷して私の所まで持ってきてください」
「はい!」
とりあえずまずノートパソコンを起動してソフトを立ち上げつつ共有フォルダから売上データを引っ張りだした。
データを見る感じ、皆そこまで大差は無いように見える。
(やっぱり優秀なんだな、皆。もしかしたら本条部長のおかげもあるのかもしれないけど)
グラフを作成しながら、ちらっと他のデスクを見渡してみる。私と本条部長以外に人はいない。皆営業に出たようだ。
(早いな……。駄目だ早くグラフ作らないと)
グラフは案外早く作り終える事が出来た。売上データにある数字を打ち込むくらいで余計な作業が無かったのが時短になっただろう。
早速印刷して本条部長に渡そうとする。しかしカタカタとパソコンのキーボードを打ち続ける本条部長からは近寄りがたいオーラが醸し出されていて近づきづらいし声もかけづらい!
(頑張れ、私!)
「あの! ぐ、グラフ出来ました!」
「ありがとう。確認するから見せてほしい」
「は、はい、どうぞ……!」
ありがとうと穏やかな笑みを持って言われたのでさらに動揺してしまう。
「うん、完璧です。とてもわかりやすいです。ありがとうございます」
「え……え?!」
完璧……完璧?! 私の作ったグラフが?! そんな事無いだろう。どうせ本条部長の事だからこっそり手直ししそうなもんだ。騙されては……。
「どこからどう見ても完璧な仕上がりです。私が言うのもなんですがもっと自信を持って良いかと」
「は……はい、そのあ、ありがとう、ございます……」
私は言葉に詰まりながらも必死にありがとうございます。を口から吐き出す。すると本条部長がすっとデスクから立ち上がった。