元地下アイドル、異世界で生きぬくために俺様王子の推しを目指します。
そんなわたしを、恵梨さんが不思議そうに見てくる。
「春凪さん? どうかされましたか」
「いっ、いえ。なんでもないです。どうかわたしのことはお気になさらず……! 恵梨さんは堂々と歩かれてください」
「……? そうですか」
恵梨さんは怪訝そうな顔をしたけど、それ以上は何も言ってこなかった。
「ついたよぉ」
シャーロットさんは一言そう告げると、廊下の突き当たりにある扉の前で立ち止まった。
コンコン、とノックをする。
「シャーロットですぅ。お連れしましたぁ」
「入れ」
扉の向こうから、昨日聞いた男性の声が聞こえてドキッとした。
開かれた扉の先は客室と思われる広さの部屋で、そこには二人の男性がわたしたちを待ち構えていた。