僕らの半年戦争~one chance more chance~
再会は突然に

舞台監督

私、松本彩華。25歳。現在フリーター。芸術系大学で舞台芸術を専攻。大学時代は舞台監督という仕事を任されていた。

舞台監督とは企画始動からバラシ(撤収作業)まで一括して面倒を見る上演責任者だ。

スケジュール管理、体調管理、そして安全管理。上演に関わる全てのことに目を向け全スタッフと意志疎通を図る。

何を聞かれてもすぐに答えられるぐらい舞台に関わることは全て把握しておく大層な役職である。

だけど。

悲しいかな、現在はフリーター。
卒業後は一度事務系の仕事に就職してみたものの、毎日同じような単調な日々に退屈さを感じ、その後自主退職をした。

それが今年のこと。
退職金も貰い、今は自由気ままに漫画喫茶のアルバイトをして食いつないでいる。

「刺激が欲しけりゃバカになれ~♪ふふふん~♪」

久々の休日。昼間。

鼻歌混じりで洗濯物を畳む。
舞台をやってた頃は洗濯なんてまともに出来なかったのに、卒業後はちゃんと洗濯機をフル稼働させている。
お陰様で着るものには困っていない。

ふと、壁掛けのコルクボードを見る。

ボードには写真たちに埋もれたながらも自分をアピールする公演チラシが顔を覗かせている。

『あなたに花束を』

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