君と頑張る今日晴れる

ほしそら3

 こでまり保育園から徒歩十分。


 WKスケートパーク。通称WKパークが見えてきた。


 高架下の一角に作られたこのパークは、広いとは言えないがいつもスケーターで活気付いている。


 WKパークを囲む金網の外にいると、シャーっとウィール(スケボーのタイヤ)が転がる疾走感のある音がして、カンカンとスケボーが地面やセクションにあたる軽快な音が聞こえてくる。


 WKパークの中に入ると、何人かのスケーターが会釈をしたので、わたしも会釈をして返す。


 たまに悠のスケボーについて来るので、みんなわたしの顔を知っているのだ。


 もちろん運動が苦手なわたしはスケボーに乗ったことなどない。


 スケボーというと世間では柄の悪いイメージがあるが、このパークにいるスケーターたちは話してみると礼儀正しいスポーツマンような人が多い。


 以前、ここのスケーターたちが、パーク周辺のゴミ拾い清掃をしていたのを見たこともある。


 わたしは隅っこのベンチに腰を下ろす。


 悠を探すと、箱型のセクションから飛び上がった空中でデッキ(スケボーの板)を蹴って回転させようと、何度も挑戦していた。


 転んでもすぐ立ち上がり、何事もなかったかのようにまた挑んでいく。


 そのスケボーで空中に飛び上がる姿は、そこだけ重力がないのかと思うほど軽く、まるで自由に飛んでいるかのように見えた。


 夢中になっている悠に声をかけるのも悪いと思って、わたしは座って見ていることにした。


 すると悠がセクションから空中に高く飛び上がり、次の瞬間、見事にスケボーを空中で回転させ技を決めて着地する。


 「おぉっ!」と歓声が上がる。


 周りのスケーターが持っているスケボーを縦にコンコンと地面にあてて音を出す。


 これが技を決めた人に対する、「ナイス」など称賛の意味らしい。


 わたしはスケボーを持っていないので拍手した。


 すると悠と目が合い、あっ、と気づいた彼がスケボーに乗ってこっちにきた。


 「晴、来てたんだ、声かけてくれれば良かったのにー」


 わたしのとなりに座って、悠が持っていたペットボトルの水を飲みながら言った。


 「集中してたし、声かけるのも悪いと思ってね」


 「もう終わろうと思ってたとこ、一緒に帰ろう」と、悠が帰り支度を始める。


 WKパークを出るときにわたしたちが会釈をすると、気づいた数人のスケーターが会釈をして返した。


 わたしたちはWKパークをあとにした。
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