【更新お休み中】歳下幼なじみのナマイキな溺愛〜最強総長の誘惑に、翻弄されて〜

再び静まり返った廊下。


いつもなら、私は耐えきれなくてすぐに突き飛ばすのに。何故か今は心地よくて。


もう少し、和泉といたいと思ってしまった。



「……でさー、次の準備なんだけど……」



しばらく沈黙していたら。


廊下の奥から、生徒の声が聞こえた。それと同時にこっちに向かってくる足音も。



「い、和泉離れて!人が来るよ」



私はこんなところ見られたらまずい、と和泉から離れようとする。


だけど一向に離れなくて。


足音は近づいてくる。



「離さねぇよ。こうしたら、バレないだろ?」


「和泉、何をっ……ん」



何を思ったのか、和泉は私の口を塞ぐと思い切り抱きしめてくる。和泉の大きな背中と、すっぽり収まるこの角度。


この状態なら、ほかの生徒には一人にしか見えない。


……でも。


久しぶりに感じる和泉の温もりにドキドキする心臓を隠しきれない私。


この状況で、ドキドキしない女の子はいますか?
< 62 / 73 >

この作品をシェア

pagetop