シークレットシスターーDance with the Devilー
「それじゃあ、名前の方は…?」

遊佐先生が聞いてきたので、
「当然のことながら変わりました。

仕事は旧姓である“永井”のままですが」
と、私は答えた。

「でも仕事に理解のある旦那さんと結婚できてよかったですね。

こう言う職業ってあまり理解されないうえに出会いもないから難しいんですよね」

遊佐先生はやれやれと言うように息を吐いた。

その気持ちは理解できる。

ほとんど家に引きこもっているようなものだし、仕事の打ちあわせもリモートで済ませられることができるので、当然のことながら人と会う機会なんて言うものは存在しない。

「私の場合はたまたま運がよかっただけの話なんで…夫と出会う前から創作活動はしていましたし、それが仕事になったみたいな感じなので」

私は言った。

「でもいい旦那さんだと思いますよ」

そう言った比嘉女史に私は笑って返事をした。
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