犬猿☆ラブコンフリクト -三島由紀の場合ー
茂木side



12月に入り、浮かれた雰囲気の中由紀ちゃんをクリスマスデートに誘った。



返事はもちろんYESだった。



待ち合わせ場所に行くと、由紀ちゃんがナンパされていて、困ったように黙り込んでいるのを見つける。



それをみて思わず由紀ちゃんの肩に腕を回して、彼女だって伝えてしまった。



まだ告白もしてないのに、だ。



退散してった男を睨みつけたあと、由紀ちゃんに声をかける。



俺の“彼女”発言は特に気にしてはいない様子で俺の問いに答える由紀ちゃん。



いや、少しだけ気にしてるのかな・・・少し返事が口ごもっていた。



それに、少しだけ顔が赤いような気がする。



・・・顔が赤い理由は、俺が抱きついて“彼女”だって言ったからだといいな。



なんて思いながらデートをしているといつの間にか夜になっていた。



今日ほど時間経つのが早いと思ったことは無い。



別れがたくてご飯に誘うと、食い気味に了承してくれる由紀ちゃん。



もしかして、由紀ちゃんも帰りたくないって思ってくれたのか・・・?



確認してみると、案の定そうだった。



まぁ、肯定はされてないんだけど・・・あの反応を見るに、そう思っていたんだろう。



そう思ったのは、きっと──俺の事、好きだからだよね?



そんな感じのニュアンスのことを伝えようとしたけど、途中で思いとどまる。



・・・十中八九、由紀ちゃんは俺に気があるだろう。



だけど・・・万が一、そうじゃないとしたら?



あの時聞こえた“好き”って言葉も、“先輩として”好きってことも有り得る。



それに・・・中学時代の例もある。



そんな中で俺の事好きだよね、なんて言えるわけが無い。



勘違いしないでおこう。



その方が万が一違かった時に傷付かずに済む。



そんな中、由紀ちゃんのオススメのお店に入ることになった。



雰囲気的には、食べてすぐ退店しなきゃ行けない、という感じでは無い。



もしかして、ゆっくり食べられるようなところを選んで、少しでも長く一緒にいれるようにしてくれた・・・とか?



自分の都合のいいようにばかり考えてしまう。



やめておこう・・・中学時代、好きだった子がわざと俺に気があるような態度をとって告白した俺の事を笑いものにしたことがあったじゃないか。



・・・期待するのは・・・やめよう。
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