再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する


スイートルームのキングサイズのベッドで気だるい身体を起こし昨晩の情事を思い出す。

隣を見れば、すでに昨日の彼はいない。

そう言えば、彼が帰る前何か言ってたな…

なんだったっけ。

私は今年二十五歳になる。

辻本 天音(つじもとあまね)。

いよいよ、お婆様の決めた相手と結婚しなければならない。

それが華道を引退するための条件だ。

うちは代々続いている華道の家元で、二十五歳になったら結婚するという約束で、自分を押し殺しながら華道を続け、それ以外の時間は自由にしてきた。

一人暮らしも。

自由と言っても特に彼氏とかがいたわけではないけど。


相手の男性は、どこの誰だか知らない。

いいの。
華道を辞めるためなら結婚だってなんだってする。
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