再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
「天音、天音ー」

ダメだ。
完全に思考が止まってしまったようだ。

「やっば! 生の天音ちゃんヤバすぎ」

翠が白目を向いてる天音の隣に座って騒いでいる。
いや、白目向いてっけど。
天音は白目を向いても綺麗らしい。
うん。綺麗だ。

ようやくハッと意識を取り戻す天音。

バッと立ち上がる。
なんだ⁈

「辻本天音と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。本日はこのような場にお招き頂きありがとうございます。嬉しさと驚きのあまりご挨拶が遅れて申し訳ございません。私は華道辻本流家元の生まれで幼い頃から華道を…

「天音、天音。大丈夫。落ち着け。座れまず」

天音が流れるような綺麗な口調で自己紹介をスラスラと永遠に話しそうだったので途中でやめさせる。

このままだと、俺との馴れ初めや初めての夜まで一から十まで話し出しそうだ。

天音は純情過ぎてたまに暴走する。
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